レアメタル資源再生技術研究会

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レアメタル通信 Vol.1



津島市・名古屋市
小型家電回収現場訪問記

レアメタル資源再生技術研究会
会長 伊藤秀章

 
 平成22 年12 月22 日(水)に愛知県津島市生活環境課の浅井直樹氏のお薦めで、津島市と名古屋市における小型家電の回収モデル事業の現場を見学することになりました。浅井氏は中部都市鉱山研究会のメンバーであり、経済産業省と環境省の「使用済小型家電からのレアメタル回収モデル事業」を津島市の立場から精力的に担っておられます。
 
 当日は前日から津島市を訪問していた秋田県大館市環境課の羽生氏も一緒に見学することになりました。最初に訪れたのは同市「さかえ団地」にある回収ステーションでした(写真1)。ここでは一般廃棄物の資源ごみの分別収集が整然と行われていました。小型家電の収集については現在“家電リサイクル法”の対象になっていないために「モデル地区用小型家電専用袋」という指定袋(写真2)により資源ごみとして別途収集していました。自治体が資源ごみとして直接小型家電を収集しているのは、津島市と福岡県筑後市・大木町・水俣市のみで、さらに指定袋で回収しているのは津島市だけとのことです。

 このようにして収集した小型家電は同市の「鹿伏兎(かぶと)リサイクルセンター」に集められて、さらに分別作業が行われていました。写真3 や写真4 は、携帯電話、基板、計装品、AC アダプター、等をケース毎にまとめている様子が窺えます。また、同市では蛍光管や電池も分別回収をしており(写真5, 6)、徹底したレアメタル資源回収への熱意が感じられました。

 その後、同市のショッピングストアを訪問し、店頭に設置された回収ボックスの収集現場(写真7)を見学しました。この中にはタテ・ヨコ30 cm 以内の小型家電(デジカ

 


写真1 回収ステーション


写真2 小型家電回収用指定袋

写真3 回収小型家電の分別

写真4 回収された携帯電話

   

写真5 電池の分別回収

写真6 蛍光管の分別回収

   
メ、音楽プレーヤー、電気ポット、炊飯器、等)が集められていました。

 浅井氏のお話では、意識の高い市民は積極的に協力してくれるが、多くの大型・小型家電が民間の不要品回収業者の手に渡り、その多くが中国・東南アジア諸国に輸出されているとのことでした。事実、回収ステーションからリサイクルセンターへの移動途中で、民間業者による不要家電製品等の回収現場も見学することができましたが、最近はこちらのほうが回収率は高いようでした収方法。レアメタルの国内循環を進めるうえで小型家電のの制度化は、効率のよいリサイクル技術の開発と相俟って回重要な課題であると痛感したしだいです。

 


写真7 小型家電の店頭回収

 津島市をあとにして、次に名古屋市熱田区にあるNPO 法人中部リサイクル運動市民の会が運営する常設型リサイクルステーション「Re☆創庫」を訪問し、代表理事の永田秀和氏の説明を受けました。ここはリユースに重点を置いた常設のリサイクルステーションとなっており、使用済み小型家電についてもレアメタル回収モデル事業に協力し、回収ボックスによる収集を行っていました。名古屋市では、市内の約45 ヶ所の定期リサイクルステーションから集められた小型家電は、常設の「Re☆創庫」で障害者の授産事業の試みとして分解され、同時に分解精度や時間・コストに関する調査活動が行われているそうです。また、分解された小型家電は、その部位・部品ごとの成分調査や精錬調査のために国の指定機関に出荷されているとのことでした。

 3年間のモデル実験が実を結び、小型家電回収事業に関する法的枠組みが定まるとともに、回収したレアメタルがどのような技術で適正に処理され、資源循環が達成されるかを見届けたいと考えた一日でした。


©2011 The Research Forum on the Recycling Technology of Rare Metals