レアメタル資源再生技術研究会

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第4回レアメタル資源再生技術研究会


第4回プログラム

概要
 平成24年6月27日(水)、第4回レアメタル資源再生技術研究会が名古屋大学ES総合館ホールにて開催されました。はじめに伊藤秀章会長から挨拶があり、レアメタル・リサイクルに関する要素技術開発が重要であるとともに、レアメタル資源をめぐる新しい国際状況のなかで、わが国が率先して先導的なリサイクルシステムを構築する必要があると述べ、10月に京都で開催予定の国際協力シンポジウムへの協力を訴えました。

 講演会では、「レアメタル・リサイクルの今後の動向と最新情報」に関する4件の講演がありました。まず、(独)物質・材料研究機構、特命研究員の原田幸明氏及び東北大学多元物質科学研究所教授の中村崇氏から、レアメタル・リサイクルにおいて解決すべき問題や小型電気電子機器の再資源化への新法制度について総論的なご講演をいただきました。休憩を挟んで後半では、大阪大学工学研究科教授の西嶋茂宏氏から磁気力制御によるレアアースのリサイクル技術について、また(株)三徳のLIB事業部長の金子明仁氏からリチウムイオン電池正極材の現状とリサイクルについて、各論的なご講演をいただきました。最後に本研究会の各分科会幹事から活動状況の紹介と報告をしていただきました。会場には約110名の参加者が熱心に聴講し、活発な質疑応答がありました。

 最初の原田幸明氏の講演では、「レアメタルリサイクルの厳しい現実とその解決のために何をすべきか!〜なぜ「都市鉱山はまだ眠っている」か〜」と題して、レアメタルを含む使用済み製品のリサイクルを困難にしている4つの壁を指摘し、「廃棄物処理型リサイクル」から脱却し、「供給リスク対応型リサイクル」への移行が重要であると述べました。そして、深刻化する資源問題の解決へ向けて、レアメタルを必要としているハイテク産業へのレアメタル供給源のひとつとして「ファイン・ケミカル・リサイクル」技術の開発を呼びかけました。さらに、消費者のEoL(エンド・オブ・ライフ)処理に替わって、製造者が機器設備を循環管理するサービサイジング・システムの運用による究極的リサイクルについても言及しました。

 続いて中村崇氏からは「小型電気電子機器の再資源化を目指す!新法制度の動向」に関する講演のなかで、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律のこれまでの検討経緯について詳しい説明がありました。最初に廃小型家電製品の管理方法として、都市鉱山から各種前処理を経た回収物を人工鉱床として集中管理する"Reserve to Stock"という考え方を紹介されました。それを踏まえて、廃小型家電の多くが、家庭で退蔵されたり、一般廃棄物として処理されたり、海外に輸出されたりしている現状を改めて、小型家電の国内リサイクルを促進するためのモデル事業の実施や新しい法制度の提案を検討中であるとの報告がありました。

西嶋茂宏氏は「磁気力制御によるレアアースリサイクル技術の実用化」と題して、強磁場下における磁気勾配と磁化で決定される磁気力を利用して、高勾配磁気分離技術と磁気アルキメデス技術を併用したレアアースの分離技術を紹介しました。前者は磁気力が磁気勾配と物質の磁化積に比例する現象を利用し、後者は常磁性媒質の中に反磁性物資を分散させた磁場中に配置すると反磁性物質が浮上する現象を利用しています。この両者を併用すると磁化率の大小に関わらず、また反磁性物質でも磁気力による分離が可能となります。西嶋氏はこの手法を用いて、廃棄酸化セリウム研磨剤や廃蛍光体からのレアアースの分離回収技術を紹介しました。

 最後の講演で、金子明仁氏は「リチウムイオン電池正極材の今後の方向性」と題して、(株)三徳におけるレアアース金属を用いた商品開発(ライター、光学レンズ用添加剤、自動車触媒、研磨剤、蛍光体、ニッケル−水素電池用負極材、Sm-Co磁石、ネオジム磁石)の歴史を紹介しました。次いで、リチウムイオン電池正極材(LoCoO2)を開発し、緻密で形状と粒径を制御した前駆体を合成や正極材の高容量化に対する開発経緯を説明しました。また、リチウムイオン電池からのレアメタル(Li, Ni, Co, Mn)のリサイクルについは、内部短絡による発火の危険性や電池構成部材のフッ素系材料の無害化など安全や環境に配慮した処理が必要であると述べました。

 講演会後の分科会活動の紹介では、事務局から現在活動中の分科会に関する全体の説明がありました。また新設の分科会(レアメタル資源再生技術調査分科会)に関して幹事の菱川幸雄氏から目的及び活動内容の説明がありました。その後4つの分科会(超硬工具分科会、ネオジム磁石分科会、コンビナート基本構想分科会、経済性評価分科会)の幹事 河邊憲次氏、室井利行氏、河村宏明氏から分科会活動の内容について紹介がありました。

 閉会にあたり、河邊憲次理事から挨拶があり、小型家電製品のリサイクル法制化とレアメタル資源問題の国際化の動きを捉えた「国際協力シンポジウム」を10月1〜2日に京都テルサで関連学会・研究会による共催、政府・自治体の後援のもとに開催企画中であり、積極的な参加を期待する旨の依頼がありました。

 懇親会は名古屋大学グリーンサロン東山のレストラン「花の木」で開催されました。はじめに、講師の原田幸明氏からご挨拶をしていただき、西嶋茂宏氏の音頭で懇親がはじまりました。会場では約50名の参加者が講師の先生方を囲み有意義な情報交換・交流のときを過ごし、第4回レアメタル資源再生技術研究会を盛会のうちに終了いたしました。

 

 

 



会長の挨拶


 
熱心な質疑応答


原田幸明氏の講演


中村 崇氏の講演


西嶋茂宏氏の講演


金子明仁氏の講演


分科会紹介(河邊憲次氏)


分科会の紹介(河村宏明氏)

  

 
 

©2011 The Research Forum on the Recycling Technology of Rare Metals